クリスマスが近づくと
なぜかいつも思い出すのですが

昔、赤坂に〈 ビエント 〉という
知る人ぞ知るカクテルバーがあって
スペイン語で “ 風 ” という意味の名前にしては
ブラックライトが光ってたりする
とてもナイスな店でした。
viento

オーナーのMr.ジョージは
日本で “ 最後の ” バーテンダー(本人談)で
鈴木聖美の TAXI という歌に出てくる
♪ジョージの店までと……という
その、ジョージ本人でありました(本人談)。

TAXI/Kiyomi Suzuki

カクテルそのものは、
バー・ラジオの尾崎さんが作る世界とは対極の世界でしたが
まさに 魔法 という表現がピッタリくるような
なにをのんでもアメイジングな一級品でした。
昭和という時代の表と裏を全部見た人しかつくれない味でした。
私の他にもジョージファンは星の数ほどいたはずです。

 ある年の冬のこと
 甘いやつをお願いします。とたのむと 
 Mr.ジョージはいつもの口調で
 じゃー、ラムだね。おいしいやつを作るよ。
 400年もののラムを使ってね。
 しかもイタリアのラムだよ。常連にしか使わないやつさ。
 といいながら
 シェーカーを振ってくれました。

 それから
 天皇から電話がないな〜。1月にいつも連絡があるんだけどさ。
 いつでも行けるようにしとかないといけないからさー、
 1月は髪の毛をそめられないんだよ。
 天皇は髪を染めるのがきらいだからね。
 といって金髪に近い白髪をなでておりました。
 外国の血が1/4入ってるから真っ白にはならないとのことでしたが
 私には金髪に染めているようにしか見えませんでした。

 一度でも行ったことのある人ならわかると思いますが
 いつもこんな調子で、カクテルよりも、ジョージ語録にしびれてた人も
 多かったのではないでしょうか。

銀座に引っ越す計画の話をよく聞きましたが
ビエントの1階が 赤坂ラーメン になってしまった頃
いったん店を閉めて、その後、店を構えたのは青山だったようで。
DMをもらっていてのに、その新しい店には1度もいけませんでした。

 そして、その数ヶ月後、亡くなられたことを知りました。

一度計画された《 ジョージと行く鬼怒川1泊カクテルパーティツアー 》。
ちゃんとタキシードもってきてね、ない人には貸すから。とか
具体的な話で盛り上がっていましたが、実現させることはできませんでした。
思い出すたび、未だに悔やまれます。

80人分をシェイクできるボンスレーシェイカー。
天国でもジャカジャカ振って、みんなを楽しませているんだろうな。
きっと。

ビエントボンスレーシェイカー